黄昏に香る音色 2
一方的に、電話を切られた。

「ったく…何なのよ」

受話器を置くと、香里奈はソファに座り、そのまま、横に倒れた。

どうしたらいいのか…。

明日香は、今アメリカにいる。

里美も、マスコミ対策で忙しいはずだ。

「どうしたらいいのよ…」

しばらく、じっとしてる。


やがて、

体を起こすと、テーブルの上に置いていた携帯を、手に取り、おもむろに電話をかけた。

相手は里緒菜だ。

しかし、

「出ないよ」

香里奈はまたソファに、倒れ込んだ。

後は、祥子や恵美。

あまり…相談には向いてない。

それに、答えはわかっていた。

香里奈は、携帯を見つめていた。

一つのメモリーを。

直樹の番号だ。

電話をかけにくい。

あまり心配をかけたくなかったし、少し恥ずかしかった。

彼氏といっても、まだ実感はなく…

ただいつも…心には浮かぶけど、

何でも話せる存在になるには、テレの方が大きかった。

香里奈はため息をつくと、携帯をテーブルに置いた。


とにかく…

いかなければならない。

香里奈は心の底では、決意していた。

その時、携帯が鳴った。
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