黄昏に香る音色 2
「直樹。あの子を、守ってやってくれ」

いきなり、和也の声のトーンが変わったから、

直樹は、少し驚きながら、

「うん。わかってる」

「実は…俺とあの子は、親戚なんだ」


「ええ!」

その言葉には、

直樹も思わず、声を上げた。

「俺の母さんの兄さん…時祭会長の娘が…速水明日香」

「会長の娘さん!?」

「明日香さんの娘が、速水香里奈…なんだ」

「そうだったのか!」

直樹の驚きの声を、かき消すように、

和也は、真剣な強い口調で話す。

「彼女は、いろんな陰謀に巻き込まれそうになっている。俺は、何もできなかった…。だけど、お前ならできる。彼女を、守ってやってくれ」


「心配するな!絶対守るよ」
直樹の強い口調に、和也は携帯越しに頷いた。


「ありがとう」

和也は、礼を言った。

それは、血のつながった者たちが…これ以上、不幸になってほしくなかったから。

時祭という大企業の都合に、これ以上、

誰も、不幸になってほしくなかった。


和也は、直樹なら香里奈を守れると、信じていた。



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