黄昏に香る音色 2
「じゃあ!ここに、住んだら、いいじゃない!3人で」

香里奈は名案と、自ら納得した。

「3人では、狭いわよ。それに、あたしは、どうなるのよ」

香里奈は、ぎくっとし、

「さ、さ、里美おばさんも、勿論、ご、ご一緒に」

狼狽える香里奈を、冗談で睨み、

里美は、深く溜息をつく。

「どうせ、あたしは、いくとこもない…独り者ですよ」

「き、きっといい人が…すぐに、できるって!」

里美の言葉に、香里奈はさらに狼狽える。

里美は、一度結婚して、

すぐに離婚していた。

香里奈の母親の仕事が、忙しくなり、店を回せなくなった為、

母親の友達であった里美が、店を住み込みで、任されることになったのだ。

もともとドラマーで、女の子バンド-ペパーミントのリーダー。

少しは、売れたみたいだけど、結婚とともに解散し、
現在は、ダブルケイで、音楽を教えていた。

ダブルケイから、有名になった歌手は多い。

香里奈の母親に、

現在活躍中のシンガー、

天城志乃。

志乃のことは、記憶に残っていた。

もう東京へ移り、安定したヒット曲を量産する彼女が、ここに来ることは、

なくなっていた。

音楽が、大嫌いな香里奈も、志乃の歌うバラードだけは、好きだった。

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