黄昏に香る音色 2
「時期が過ぎたら、捨てるだけ。何日かしたら、新しいお人形が、歌手として発売されるわ。それを、みんなが買うだけ。壊れた…古い人形は、捨てるだけよ」

「ちがう!人形なんかじゃない!」

香里奈は、ティアに詰め寄った。

「みんな歌が好きで、ただ歌って…自分の気持ちを、伝えたり…みんなの気持ちを代弁したり、落ち込んだ時、元気になるように…歌ってるの!」

「詭弁ね」

ティアは、観客席に視線を移し、

「大部分は、ただ有名になって、金がほしいだけよ。ビジネスよ。この世の中すべては、お金で動いてるのよ」

香里奈は、ティアをじっと見据え、

「じゃあ。あなたは何の為に、音楽に関わっているんですか?」

「あたし?」

ティアは、香里奈を見ずに、

「あたしは、すべてを壊すため…さっきのあなたみたいに、綺麗事をいうバカなやつらを…壊すこと」

「壊す…」

「音楽に関わってるやつは…みんな、嫌いなの」

ティアは、香里奈に視線を移し、

「だから」

ティアは、香里奈に微笑みかけ、

「あなたも、大嫌いなの」

クスクスと笑った。


「さあ!さっさと行きなさいよ。あなたの好きな音楽と…父親のもとに」



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