黄昏に香る音色 2
直樹と和也は、香里奈をマンションの前まで、送った。

ダブルケイはまだ、危険かもしれなかった。

「ありがとう…」

香里奈は、オートロックを外す。

「…じゃあ、俺たちは帰るね」

「うん…気をつけて」

香里奈は、手を振りながら、扉の中に入った。

香里奈が、奥のエレベーターに乗るのを確認して、

直樹と和也は、歩き出した。




「和也…ありがとう」

「何だ?別に大したことはしてないぜ」

「お前が、来てくれなかったら、助けられなかった」

直樹は足を止め、

頭を下げようとした。

和也は足を止めず、歩き続ける。

「和也…」

「なあ、直樹…」

少し前で、和也は足を止めた。

振り返り、直樹を見た。

「店、やることにしたよ。しばらく、母さんを手伝うつもりだ」

「そうか!よかった」

直樹の喜ぶ顔に、

和也は微笑み、

「ありがとうな。直樹」

和也は、すぐに前を向いて、照れたように歩き出した。

「和也!」

直樹は走る。

和也の隣に並び、

二人は駅まで歩く。

例え、二人の間に言葉が少なくても、

二人の絆は、強かった。
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