黄昏に香る音色 2
部屋に入った香里奈は、

緊張の糸がほどけたように、そのまま…ソファに倒れ込んだ。

そのまま、眠ってしまった。




しばらくして、誰かが部屋に入ってきた。

「あら…風邪引くわよ」

香里奈に、毛布をかけてあげた。




おいしそうな匂いに、香里奈は目を開けた。

それは、久々に嗅いだ匂いだった。

懐かしく、大好きだった匂い。

これは…。

「ママ!」

香里奈は、飛び起きた。

「目が覚めた?まだ寝てても、よかったのに」

台所にいる明日香は、振り返った。

「もう少ししたら、できるからね」

疲れてるはずが、匂いをかいだら、

お腹が、すいてることに気づいた。

「先に、着替えてらっしゃい」

香里奈は、制服のままだった。

「はあい」

香里奈は、返事をすると、ソファの上で、制服を脱ぎだした。

明日香は、そんな娘の姿に、クスッと笑った。

「そんな脱ぎ方…飯田くんの前では、ダメよ」

明日香の言葉に、

香里奈は、顔を真っ赤にさせ、

「そんなことしないよ!」

明日香は、また笑った。

「ママ…」

「どうしたの?」


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