黄昏に香る音色 2
「逃げて下さい!」

生放送本番中のスタジオに、誰かの声がこだました。

メイン司会者やゲストのタレントが驚き、

戸惑う中、

スタジオになだれ込んできた人達。

「何だ!取り押さえろ!」

スタッフが叫んだ。

しかし、

無理だった。

なだれ込む人の数が、止まらない。

慌てて逃げる出演者たち。


何千人が一斉にテレビ局に、押し寄せたのだ。

それだけの人々を抑えるセキリュティーは、テレビ局にはない。

その混乱は、テレビを通じて、お茶の間に映し出された。

「警察を呼べ!」

スタッフが叫んでいた。



同時刻…

近くにある2カ所ある警察署にも、

何千人もの人々が押し寄せていた。

革命家でも、過激派でもない…

普通の人々。

日本は、世界で一番、危機管理ができていない。

ある人物がいっていた。

その気になれば、どこにも入れる。

会社でも、国会でも、テレビ局でも、

掃除のアルバイトにでもなれば、

えらい人の近くにいけると。

そして、何百人が一斉に、

前触れもなく、堂々と中に入ろうとしたら、

それを止める術はないと。


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