黄昏に香る音色 2
「革命か…?これが、ただ頭がおかしくなってるだけだろ」

ジャックは、また欠伸をした。

「でも、楽しいじゃない」

「この前、コンサートに来た人数だけじゃないな…」

「群衆意識に…祭感覚。すべてが、狂ってるわけじゃないけど…おもしろ半分で参加している」

「確かに何千人もいたら、捕まえられないよな。それも、普段捕まえる方の警察を、ターゲットにしてるしな」

「まさか…最初に襲われるとは思わない」

ジャックはティアを見、

「まさか…指示したのか…」

ティアはタバコをふかし、

「ちょっとね…」

「どうやった?」

「KKのホームページに登録している者に、一斉にメールしただけよ」

「何と?」

「次にコンサート予定の、中路山音楽フェスティバルが…警察とテレビ局の圧力で、中止になりそうだと」

「そんなことしたら…足がつくぞ」

「構わないわ。別にバンドがなくなってもいいし、この国に長く…いる必要もないし」

ティアは、灰皿にタバコをねじ込むと、

「あたしたちはただ、音楽を聴かせてるだけ…。薬をばらまいてるわけでもない」

「しかし…」

「もし、音がおかしいといわれても…それを確証して、犯罪に認定するまで時間がかかるわ」


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