黄昏に香る音色 2
昼休み。

いつもの如く、香里奈たちは、屋上にたむろしていた。

「あれ?藤木くんと飯田くん…お弁当なんだあ」

弁当を、パクついていた祥子は、少し離れた所に座る二人の手元に、気づいた。

祥子は、二人の弁当を覗き込み、

「それも…おかずとかいっしょだあ!」

必要以上に、大声を出す祥子に、直樹は苦笑して、

「和也のお母さんにつくってもらったら…」

「ああ…俺たち、いっしょに住んでるんだよ」

和也は、エビフライをくわえながら、こたえた。

「えええー!」

祥子と恵美が、声を張り上げた。

「か、香里奈ちゃんは、知ってたの?」

そばで、特大サンドイッチと格闘している香里奈に、

祥子がきいた。

サンドイッチを頬張りながら、

香里奈は、首を横に振った。

顔をしかめ、一気に飲み込みと、再びサンドイッチを手に取る。

「よく噛まないと、よくないよじゃなくて…」

祥子は、身をよじらす。

「何で知らないのよお」

「ううう…」

香里奈は、サンドイッチをくわえながら、

首を捻る。

「香里奈ちゃん…」

祥子は、情けなさそうに、呟いた。
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