黄昏に香る音色 2
直樹はクスッと笑い、

「香里奈さんは、いろいろ大変だったから…伝えるのが、遅くなっただけだよ」



屋上の扉が開き、里緒菜が入ってきた。

「りゆおなあ!」

香里奈は、サンドイッチを頬張りながら、里緒菜に声をかけた。

「遅かったじゃない」

恵美は、おにぎりを手にしながら、里緒菜に言った。

「ちょっと確認を…」

里緒菜は、フェンスにもたれかかった。

「確認って?」

祥子がきいた。

里緒菜は、香里奈に視線を移し、

「4限目前に、職員室に行ったとき…聞いたのよ」

「何を?」

恵美たちの注目が、里緒菜に集まる。

香里奈はキョトンとして、サンドイッチを食べながら、里緒菜を見る。

里緒菜は、ため息をつくと、

「この前のコンサートについてよ」

「コンサート…」

和也は、呟いた。

直樹は、真剣な顔になる。

「ちょっと問題になってたけど…この件は、何かあったら、牧村先生が責任を取るということで、治まったわ」


「別に、学校は関係ないだろ」

和也は、弁当箱を置いた。

「マスコミが、学校に来たから…問題になって、報道されるのがこわいのよ」


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