黄昏に香る音色 2
「けっ!いやだね」

恵美は唾を吐いた。

「香里奈ちゃんのせいじゃないのに…」

祥子は、香里奈を見た。

香里奈は、サンドイッチが喉に詰まったらしく、紅茶を流し込んでいる。

祥子は、ため息をついた。


「香里奈!」

里緒菜は香里奈を見、

「今までのことは、別にすんだことだから、いいけど…これから、どうするの?」

香里奈は、ふぅと息をはくと、里緒菜を見た。

少しの沈黙。

「里緒菜ちゃん…。か、香里奈ちゃんは、もう、あんなのには、かかわらないわよ…ねえ」


祥子は慌てて、里緒菜と香里奈の視線の間に、割って入る。

「今回の騒ぎはもう…あんた一人で、止められるレベルじゃないわ」

里緒菜の口調は厳しい。

「この前も、ナオくんや藤木くんに、助けに来てもらわなかったら…どうなっていたか」

何も話さない香里奈を、里緒菜は睨む。

「里緒菜ちゃん」

祥子は、里緒菜に近づく。

里緒菜は、祥子を無視し、

「ここで誓って…」


香里奈の前に行く。

「もう二度と、あんなことにかかわらないと」

マットの上で、座る香里奈を、里緒菜は見下ろした。



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