黄昏に香る音色 2
「ったく…あいつは…」

直樹は、和也が忘れていった弁当箱を片付ける。

「あいつは…」

文句を言いながらも、片付けを終えると、

直樹は、香里奈と里緒菜に、近づき、

「問題はないよ…」

直樹は里緒菜を見、

「でも…やっぱり心配はあるけど」

香里奈を見た。

そう言うと、弁当箱を抱えながら、二人の間を通り抜け、直樹はドアへと歩いていく。

里緒菜は、その後ろ姿を見送った。


「里緒菜…」

香里奈は口を開いた。

「ありがとう。でも…あたしはやらなくちゃいけない」

里緒菜は仕方なく、

笑うと、

「行くときは、ちゃんとあたしたちに言ってよね」

里緒菜の言葉に、香里奈は深く頷いた。

「うん」

その様子に、祥子と恵美はほっと胸を撫で下ろした。
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