黄昏に香る音色 2
明日香が、所属するレコード会社の地下。

そこにあるスタジオ内で、

明日香と…アメリカのトップクラスのスタジオミュージシャンが、集まっていた。

レコード会社の関係者たちは、色めき合い、

所属アーティストたちも、覗きに来ていた。

世界中の数多くの名盤に参加し、多くのアーティストにその音を求められる……

Mr.Perfect Soundと呼ばれる者達。

彼らが一同に揃い、日本にいることは、奇跡だった。

そして、

さらに、見学者を驚かせたのは、

明日香の音だった。

トランペットにつけたワウ・ワウ・ペダル…。

かつて、ロックフェスティバルに参加する為に、

マイルス・ディビスが導入し、

エレキギターのようなサウンドをだす為に、使った道具。

明日香はスタジオの中…吹きまくっていた。

その様子を、見ていたサミーは…ずっと、苦虫を噛み潰したような顔に、なっていた。

30分程…吹きまくった明日香は、マウスから、口を離すと、

流れる汗を拭った。

「どう?サミー」

明日香は、サミーの方を向いた。

サミーは肩をすくめ、

「お前のことだ…悪くはねえさ…。だが…気に入らねえ」

サミーは、明日香を睨み

「これは、お前の音じゃねえ」
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