黄昏に香る音色 2
「お前の音は、もっと繊細で、暖かく…その癖、力強い音だ」

明日香は黙って、

サミーの言葉をきいている。

「なのに、今の音は…ただ大きいだけだ!ワウ・ワウは、お前には似合わない」

「サミー。だけど…」

「いつもの音じゃ、啓介と混じり合ってしまうことは、わかっているが…」

サミーは、首を横に振り、

「お前の音じゃない」

明日香は、ワウ・ワウをつけたトランペットを見つめ、

「啓介の音から、みんなを守る為には…これしかないの」

「邪魔する為の音楽か。ケッ!」

サミーは、スタジオを出た。

「明日香…」

他のミュージシャンが、明日香を心配そうに見る。

明日香は微笑みかけ、

「練習を続けましょう」

再びトランペットに、口づけをした。





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