黄昏に香る音色 2
テレビを集中して見れない理由は、わかっていた。

志乃だ…。

最近よくCMに、彼女は出ていた。

歌番組なら、覚悟はしてるけど…

いきなりのCMは、心を緊張させた。

歌は好きだし…

尊敬もしていたけど…

恐れていた。


そんな気持ちを、知らない里緒菜。

「あんた…普段、何やってるの?部活もしてないし…」

「別に…」

香里奈は、自分でもわからなかった。

時々…

自分が、抜け殻のように、感じる時があった。

「香里奈」

里緒菜の声に、我に返った。

「どうしたの…」

少しぼおっとしてたらしい…。

「あっ…ごめん」

「疲れてるじゃないの…」

「大丈夫。ありがとう…里緒菜」



ベルが鳴り、授業が始まる。
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