黄昏に香る音色 2
通路を走っていく香里奈の後ろ姿を、見つめながら、

志乃はため息をつき、壁にもたれかかり、

軽く笑うと、

「チクショウ…」

そう呟いた時には、志乃は泣いていた。

本当は、

あたしが着て、

あたしが歌いたかった。

なのに…。

何が、

歌姫よ。

「あたしは…」

志乃は、そのまま崩れ落ち、

その場で、泣き崩れた。


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