黄昏に香る音色 2
心を蝕む
それは…小さな場所で…

小さなものによって、始まった。

初めは、誰も関心をしめさなかった。

しかし、

じわじわと、染み込んできた。

最初は、夜の暗闇から…

次は、夜の明かりに照らされ、

そして、

それは、普通の日差しの中にまで、存在しょうとしていた。




激しく、扉を叩く女がいた。

壁のような一枚鉄の扉は、頑丈だ。

女の力では、びくともしなかった。

拳から、血が出るまで、いや…出ても、叩き続けた。

だけど、

扉は開かない。

発狂したような声を上げると、女は両手で、しばらく叩いたが、しばらくして…女は、扉に耳をつけた。

微かな振動で、中の音が聴こえた。

それだけで、女は涎を流して、うれしそうな顔をした。

ああっ…。

声をもらしていると、

ゆっくりと扉が開いた。

光のない光…

外の暗闇より、明るい癖に、暗かった。

ぬ~うと、細長い手が扉の中から、出てきて、女の首筋を掴むと、そのまま、
中へと引きずり込んだ。

扉は、すぐに閉まった。
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