黄昏に香る音色 2
ライブが、行われる前日。

香里奈たちは、空港にいた。


あのロックフェスティバルから、
1ヶ月以上がたっていた。


「じゃあ、行ってくるからね」

明日香は香里奈と、

香里奈の手を握る和恵に、微笑んだ。

「今回は、できるだけ…早く帰ってくるから」

明日香はしゃがみ、和恵の頭を撫でた。

「お姉ちゃんの言うことをきいて、大人しく、いい子でいるのよ」

明日香の言葉に、頷く和恵。

明日香は立ち上がり、

「香里奈」

「ママ…」

明日香が、何か言おうとした時、

明日香の携帯が鳴った。

明日香は、画面を見て、

ため息をつきながらも、電話に出た。

「はい」

そっけない返事に、電話をかけてきた主は、文句を言う。

「何だ?その氷のような冷たい言い方は」

「別に、冷たくなんてないわ」

「こんな風じゃーかわいい女と、思われないぞ」

「大丈夫よ。サミーにだけだから」

「Oh My God!」

サミーは、大げさに嘆く。

「なんてこった…お前というおん…」

サミーが、まくし立ててる途中…明日香の携帯を、横から、取り上げた。

「サミー…誰の携帯にかけてるんだ?」
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