黄昏に香る音色 2
「まったく…よく電話をかけてくるとは、きいていたが…」


「け、啓介!べ、別にいいじゃないか…た、たまの電話だぞ」

啓介にかわったことに気付き、焦るサミーに、

啓介は呆れ、

明日香に携帯を返した。

明日香は、苦笑しながら、

「というわけで、電話切るわね」

「明日香!電話のことは、啓介に言うなと言っ」

「じゃあ、ニューヨークでね」

サミーの話の途中で、明日香は電話を切ると、

ため息をついてから、啓介を睨んだ。

「あなた!どこ行ってたの」

「ご、ごめん。ニューヨークにいくから…スタジオのみんなにお土産を買うの忘れてて…」

啓介は頭をかいた。

明日香は、ため息をついた。



「じゃあ、香里奈、和恵。ママ達行ってくるね」

明日香と啓介は……啓介が、KKとしてやってしまったことの償いにいくのだ。

KKというドラッグに、はまった人々を、もとに戻すために。

啓介いわく、

狂わすことができたなら、

癒やすことも、できるはずだと。


「まだ…すべてが、終わった訳ではない」

啓介は、脇腹の傷をおさえた。

突き刺さったナイフは、奇跡的に、致命傷にもならず…内臓も、傷つけてはなかった。

「でも、必ず終わらせてみせる」

啓介は誓った。
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