黄昏に香る音色 2
生徒に挨拶していると、後ろから、もうスピードで追い越していく人物がいた。

軽くゆうと、ぶつかった。

相手は、謝りもせずに、歩き続けていく。

ゆうは少しムッとしながらも、その男に声をかけた。

「本田先生」

淳はピクッと反応して、徐に振り返った。

虚ろな目に、くまが異様に目立つ。

これでも、教師かと。

内心思いながらも、ゆうは笑顔で、淳に走り寄った。

「おはようございます。いい天気ですね」

ゆうの言葉に、淳は空を見上げ、すぐに下を向くと、

フンと鼻で笑った。

そのまま、ゆうを無視して、歩きだした。



「何だ…あいつは…」

ゆうは少し毒づくと、淳と距離をおいて、歩きだした。
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