黄昏に香る音色 2
ガラガラと…建て付けの悪いドアが、開き、担任の先生が入ってくる。

みんなが、一斉に立ち上がり、朝の挨拶が始まる。

担任は、事務的に出席を取り終わると、

「何か、連絡事項はない…ね。…もうすぐ試験だから、予習復習を大切にして下さ…忘れないように」

言い直す先生に、生徒が苦笑した。

一人の女生徒が、口をはさんだ。

「牧村先生!また怒られますよ」

牧村は、キョロキョロと周りを見た。

「仕方がだろ~癖なんだから」

生徒に、あまり丁寧に話すなと、

学年指導に、牧村は何度も注意されていた。

しかし、

社会人から、先生になった牧村優一には、上から話す口調は、なかなか言えなかった。

今日も言えない。




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