黄昏に香る音色 2
「あたしの名前ですか!?」

里緒菜は叫んだ。

「おう。お前だけじゃなくて…いろんな名前があったけど」

放課後、演劇部の部室に、里緒菜と美奈子はいた。

まだ他の部員は、来ていない。

「お前の名前の上にあったのは…確か…」

美奈子が悩んでいると、
ゆっくりとドアが開いた。

「すいません…」

部室に顔をだした人物に、里緒菜は軽く驚き、

そして、呟いた。

「高木…さん」

優は、不敵に笑った。

「高木!そうだ、高木優だ」

美奈子は手を叩き、やっと思い出した。

「あたしが、何か?」

優は、美奈子の方に微笑んだ。

「あっ、え!?」

美奈子は、ぎょっとなって、声がした方を見た。

「た、高木さん?」

優は、笑顔のまま頷いた。


「何か用かしら?」

里緒菜は、戸惑う美奈子をおいて、優の前に立った。

「ええ」

優は、里緒菜を見た。

「ここじゃなんだから…場所を変えるわ」

里緒菜は、優の横をすり抜け、廊下に出た。

優は、美奈子に頭を下げると、きびすを返し、廊下に出た。

その時、部室に入れ替わりで、直樹が入ってきた。

すれ違う2人。

< 339 / 539 >

この作品をシェア

pagetop