黄昏に香る音色 2
里緒菜は、廊下を抜け、校舎の裏にある…焼却炉まで来た。

今は使われていない為、めったに人は来ない。

無言でついてきた優は、
里緒菜の後ろ姿を、じっと見つめていた。

里緒菜の足が止まり、振り返った。

「ここ最近…ずっと、あたしたちを見てたけど…どうして?」

少し強い口調で、話す里緒菜に、

優は、少し距離をおいて止まり、そして…せせら笑った。

「別に、あんたを見てる訳じゃないわ」

優の口調も、普段とは違い…挑戦的な物言いになる。

「あたしは、ただ…」

優は腕を組み、里緒菜にゆっくりと近づき、

「飯田くんを見てるだけ」

「ナオくんを…」

里緒菜は少し驚き、思わず…呟いた。

その声を、優は聞き逃さない。

「ナオくん〜」

はっとして、里緒菜は優を見た。

「気安く、呼ばないでくれる」

優は、里緒菜の正面に立つ。

「同じクラスで、同じ部員だから…呼んでいいの?」

「あんたには関係ないわ!」

里緒菜は、優を睨む。

「ハハハハハハ」

優は大声で笑い、すぐにやめると、里緒菜を睨み、

「ふられたくせに!」
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