黄昏に香る音色 2
「え…ああ」

思わず口ごもる香里奈。

笑顔の直樹。

そんな2人を交互に、見回す恵美と祥子。

香里奈はまだ、昨日のことを、2人には言ってないことを、思い出した。

「あのさ…」

香里奈が、説明しょうとした。

その時、

何か閃いたみたいに、直樹は声を上げた。

「やっぱり、おかしいよね。男、1人じゃ」

いきなり振り返り、直樹は叫んだ。

「和也!」

廊下側の、一番後ろの席にいる男…。

和也は、教科書を開いて、頭にのせ、さっきの授業から寝ていたらしい。

返事がないので、直樹はツカツカと、和也の席まで歩いていき、

教科書をとると、耳元で叫んだ。

「和也!」

「うるせいな…」

だるそうな声で、和也が目を覚ました。

「和也。ご飯いくぞ」

和也は、直樹の顔を見る。

「昨日…仕事で、あんま寝てないんだ…寝させろよ」

また寝ようとする和也。

「和也!」

直樹は寝させない。

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