黄昏に香る音色 2
忍び寄る陰
警察が屋上に突入瞬間を、出入り口から見てた優。

「バカじゃない…」

刺されても、告白しない和也に、優はそう呟くと、

倒れている直樹に気づき、

「飯田くん」

駆け寄り、抱き上げようと、近づく。

直樹に手をのばし、触れようとした時…。

「ナオくん!」

香里奈が、駆け寄ってきた。

直樹をはさんで、

香里奈と、優の目が合う。

「え…」

しばらく、時が止まる。

優は不敵に、笑った。

「生徒が倒れてる」

「早く、タンカーを!」

救急隊が、階段を上がってくる。

「怪我人を、早く!刺されている生徒もいるぞ」



「離せ!まだ終わっていない!」

叫び、暴れながら、淳は警官におさえられて、屋上から連れていかれる。




直樹も、タンカーに乗せられる。

直樹にすがりつく香里奈を、横目で見つめながら、

タンカーで階段を降りていく直樹を、優はただ…見送った。




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