黄昏に香る音色 2
里美は、昼ご飯の用意をする為に、2階のキッチンにいた。
ラジオをかけていた。

DJが、今話題の歌手として、クリスティーナ・ジョーンズを紹介していた。

流れる音楽。

里美は、料理をする手を止めた。

クリスティーナの歌う…

ある箇所が引っかかった。

「これは…」

里美が、真剣に曲を聴こうとした瞬間、

大路学園のニュースが、飛び込んできた。

「香里奈!」

里美は火を止め、キッチンを飛び出した。

「里美おばさん」

テレビを見ていた和恵に、

「和恵ちゃん。ご飯…パンでも食べて、待ってて!お姉ちゃんの学校行ってくる」

里美は家に鍵をかけ、学校に向かった。


無傷だった香里奈に、安心して、里美は家に帰った。

学校はパニックとなり、警察の事情聴取もある為、

生徒は、午後の授業は中止して、帰された。

香里奈は、直樹や和也が運ばれた病院に行くつもりが、祥子がショックで、震えている為、

里緒菜と先に、祥子を送ってから、2人は、病院に向かうことにした。

場所はわからなかったが、意識を取り戻した直樹から、香里奈に電話があった。

「ナオくん、大丈夫?」

「うん。俺と岸本さんは、大丈夫。和也は…今から…手術だ」

「病院はどこ?」

香里奈の言葉に、

「今、和也のお母さんも来たし…今日は、ばたついているから…」

直樹は言葉を止め、

「今日は、やめておいた方がいいよ…」

「でも…」

香里奈の肩を叩き、里緒菜は電話を変わった。

「でも、場所だけ…教えてほしい」

里緒菜の願いに、

「今から、岸本さんは帰るから…」

直樹は、運ばれた病院の場所を告げた。

香里奈と里緒菜は、恵美を迎えに行く為に、病院に向かった。




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