黄昏に香る音色 2
藤木和也。

180はある長身に、少し色黒で茶色の瞳…。

雑誌のモデルを、こなすイケメンである。

色が白い直樹とは、対象的だ。

同じクラスではあるが、香里奈とは、別の世界にいるように感じていた。

和也は、だるそうに欠伸をし、香里奈の方を見た。

「で、どこいくの?」

「あ」

口ごもる香里奈。


「屋上です!」

香里奈の代わりに、祥子がこたえた。

「OK、わかった。さっさと行こうぜ」

一番先に、教室をでる和也。

「じゃあ…行きましょう。速水さん」

直樹が促す。

なぜこうなったのか…理解できていなかったけど…

祥子は、和也の後を追う。

「行きましょう」

戸惑う香里奈の耳に、恵美が囁いた。

「あたしは、あんなチャラチャラした男、すかん」

一応、恵美は、祥子の後に続く。

「後で話せよ」

と恵美に、言われても…。

一番理解できてないのは、

香里奈だった。
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