黄昏に香る音色 2
病院の待合室で、

香里奈と里緒菜は、直樹と恵美に会った。

2人は元気そうだった。

「大丈夫?恵美」

「大丈夫だ。でも…不覚をとった…油断した」

恵美は、悔しそうだった。

「藤木くんは?」

心配そうに、里緒菜がきいた。

「手術はすぐ終わった。大丈夫みたいだ…」

「よかった…」

里緒菜は、胸を撫で下ろした。

「ナオくんは…」

香里奈の質問に、

「俺は全然、大したことないから…」

直樹は微笑んだ。

香里奈も安心した。

「俺は、和也に付きそうよ。おばさん、1人じゃ…大変だろうから…」

「ナオくん…」

「何か会ったら、電話するから」




香里奈と里緒菜、恵美は病院を後にした。

最寄りの駅から、電車に乗り込んだ。

病院から、降りる駅まで、里緒菜は終始、無言だった。

先に、里緒菜の降りる駅に着いた。

「じゃあ…降りるね…」

うなだれたまま、電車を降りる里緒菜に、

「里緒菜!」

香里奈が叫んだ。

振り返る里緒菜。

「大丈夫だよ。藤木くんは…」

「うん…」

里緒菜は頷き、電車の扉はゆっくりと…閉まった。
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