黄昏に香る音色 2
「直樹…」

和也は、直樹の真剣でまっすぐな瞳に、驚いた。

「俺は逃げないよ」

直樹は、きっぱりそう言うと、ベットから離れ、

「今回のことで…俺は思ったんだ…」

直樹は、窓に近づく。

「何を、調子に乗ってるんだと!釣り合うだの、釣り合わないだの…そんなこと言う前に!」

直樹は、窓の横の壁を叩いた。

「愛する人を、守れるようじゃないと…だめなんだと!」

「直樹…」

直樹は、和也を見、

「それを教えてくれたのは…お前だよ。和也」

直樹は、そう言うと

照れくさそうに、

「怪我…早く治ったらいいな」

「ああ…もう大丈夫だ」

和也は微笑んだ。

直樹は、和也に頭を下げ、

「な、直樹!?」

「ありがとう」

頭を上げると、直樹も微笑み、

「じゃあ、帰るわ」

「おお…気をつけて」

ゆっくりとドアに近づくと、ノブをしっかりと掴み、直樹は振り返った。

「如月さんに…告白しろよ」

和也は、目を丸くした。

「好きなんだろ?」


「ああ」

和也は頷いた。

「いずれ…するよ。急いでないから」


「頑張れよ」

「ありがとう」

和也は微笑んだ。
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