黄昏に香る音色 2
屋上では、散々だった。

まったく話さない和也と恵美。

逆に、香里奈に、

「これ、おいしいよ」

とか、色々すすめてくる直樹。

直樹と和也に、気を使いまくる祥子。

(せっかくの昼休みが…)

深いため息をつく香里奈。



「ご、ごめん…やっぱり迷惑だったかな…」

香里奈の様子に気付き、はしゃいでた笑顔から、一転して暗い顔になる直樹。

「天気だし…。みんなで食べた方が、おいしいかと…」

直樹は、広げていた弁当をしまう。

「ずうずうしいとは思っていたんだ…」

直樹は、香里奈や恵美、祥子に頭を下げる。

「もう…こんなことしないから…ごめん」

そのまま、屋上から消えていく。

「直樹!待てよ」

慌てて、和也は追いかける。


何とも言えない空気が、屋上に流れた。



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