黄昏に香る音色 2
「志乃ちゃん!」

香里奈が走っていく。

香里奈より、3つ上の7歳の志乃は、

お姉さんのように、香里奈の相手を、よくしてくれていた。

「先生、おはようございます」

志乃の本当の姉である百合子は、今年20歳である。

結構、年の離れた兄弟だった。


高校1年の春に、

LikeLoveYouのCDを持って、ダブルケイを訪ねてきたのだ。

彼女は、残念ながら…音楽の才能を、見いだせなかったけど、

今は、大学の演劇部で…女優をしていた。

ここで得たボーカルレッスンが、役立っているらしい。

百合子には、才能がなかったが、

たまに、いっしょに遊びに来ていた志乃に、

才能があることを、啓介や阿部たちは見抜いていた。

今は、週に何回か、ボーカルレッスンを受けにきていた。


妹は、天才かもしれない。
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