黄昏に香る音色 2
啓介は、唇を噛み締め、拳を握りしめた。

「しかし…こんな…早く完成していたなんて…」

夜が訪れたニューヨーク。

自由の女神の向こうから、

巨大な飛行船が、飛んできた。

夜よりも暗い影を、

啓介とサミーの頭上に落として、ニューヨークの空を飛ぶ。

飛行船から、流される

パーフェクト・ヴォイスの新曲を聴くために、

普段、騒がし過ぎるニューヨークの街並みが、

静まり返り、

行き交う人々が、空を見上げる。

飛行船は、その先にある…光り輝くベースボール・スタジアムを、目指していた。

その飛行船には、クリスティーナが乗っているのだ。

金髪で、美しく、

セクシーな歌姫。

アメリカの美しさ…そのものだった。
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