黄昏に香る音色 2
飛行船は、スタジアムの上で止まり、

そこから、

歌姫が、降りてくるはずだった。


飛行船から、一気に落ちてきたものは、

自由落下で、

普通に、地面に激突した。

マウンド上に、

鈍い音と、砂埃。

そして、

血が

飛び散った。


何万人もの歓声が消え、

悲鳴に変わる。

多くの人々の目の前で、

死んだのだ。

パラシュートも何もつけず、

歌姫は、その命を散らした。

スタジアムは、パニック状態になった。

歌姫の突然の死。

それは、呆気なく、

儚く、

おそろしく、

トラウマになるほどの

ショックを、全米に与えた。

しかし、

本当のショックは、

まだ訪れていなかった。


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