黄昏に香る音色 2
和美は言葉に詰まり、軽く苦笑した。

「あたし……日本にいないのよ。しばらくは、ママの役目よ」

「啓介が…」

「あれは駄目よ。音楽以外、役に立たない」

恵子も苦笑した。

「そうね。頼りないわ」


「ママ…」

「何よ。かずちゃん」

「あたし…ママが大好きよ」

恵子はびっくりし、

照れながらも、

「あたしよ…かずちゃん」


「長生きしてね」

「ありがとう」





恵子は、電話を切った。


あれから、何年…。

もう恵子も、

和美もいない…。

そんな世界に、明日香達はいる。


朝の日差しの中、

明日香は、洗濯物を干していた。

日本も、アメリカも、

人の生きる基本は、変わらない。

ラジオから流れる歌声…

ジュリアの声に…

明日香は、違和感を感じていた。

パーフェクト・ボイス…。

それは、

パーフェクトであるはずはない。

明日香は、

この歌声に、

運命の違和感を感じ取っていた。
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