黄昏に香る音色 2
「おい、直樹!待てよ」

階段を降りる直樹を、追いかける和也。

階段の途中で足を止め、直樹が振り返る。

「ごめん…和也」

「はあ?」

「お前にも迷惑かけて…」

「何言ってんだよ」

和也は急いで、階段を降りると、直樹の肩に、手を置いた。

「好きなんだろ」

その言葉に、少し驚いた表情の後、直樹は強く、頷いた。

「ああ…」

「だったら、いいぜ。謝るなよ」

和也は、直樹を追い抜く。

階段を降り終えると、逆に振り返り、

「頑張れよ」

「和也!」

「お前には…俺の方が、いろいろ迷惑かけてるからな」

和也はそう言うと、軽く手を上げて…そのまま廊下を、消えていった。




しかし、和也は内心驚き、困っていた。

「よりによって…速水とはな」
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