黄昏に香る音色 2
ジュリア
「今の世界情勢は、わかっている…。勿論、国内の状況も。それに、私の政策に対する批判も…」

エドワードは、ホワイトハウスのプライベートルームで、

ジュリアと2人。

ソファーに腰掛け、

エドワードは、ジュリアを見つめながら、しゃべり続ける。

「しかし…今、この国のやり方を変えたら…世界は、混乱するだけだ」

「この国は…正しいんですか?」

ジュリアは、素直な素朴な質問を投げかける。

「大統領にきいてる?それとも…エドワード・バッシュにきいてる?」

ジュリアも、エドワードを見つめ、少し考えると、

「…あなた自身の言葉で…」

エドワードはフッと笑うと、

静かに話し出す。

「ある者にとっては、正しく…ある者にとっては…正しくないと思われる…この国は、そういう国だ…いや、すべての国がそうだ。国とは…国の為にしかない」

エドワードは言葉を止め、少し考え込む。

「エドワード…」

ジュリアは、エドワードの横顔を見つめた。

そこには、苦悩があった。

「私も何とか…変えようとしているが…この国は…大統領になっても…変えることは難しい…」

そう言って、肩を落とすエドワードの手に、

ジュリアはそっと…手を添えた。

「ありがとう…」

エドワードは、ジュリアに微笑んだ。


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