黄昏に香る音色 2
警察と救急隊が、

明日香の連絡により、到着した。



事情聴取が終わり、サミーのスタジオに帰ったのは、

深夜をまわっていた。

心配して、サミーと啓介…スタジオのみんなが待っててくれた。


「明日香…」

啓介が、明日香に駆け寄った。

明日香は、緊張の糸が途切れたように、

よろけて、啓介の腕の中に倒れ込んだ。


「明日香…」

「ティアは…死んだわ」

明日香は呟き、

そして、泣き出した。

啓介は、明日香を抱き締めた。





そのまま、

明日香はダイアナに付き添われ、上のアパートへ連れて行かれた。


「終わったのか…」

啓介は呟いた。

「いや…終わらんよ」

サミーはそう言うと、

お酒を取りに、スタジオの端にある厨房に入った。

お酒をいれたグラスを2つ持って、現れた。

「これは…終わらない問題だ」

サミーは、啓介にグラスを差し出す。

受け取ると、一口飲んだ。


「もう…サックスは、吹けるのか?」

「何とか…」

啓介はグラスを見つめ、

「サミー…」

「何だ?」

「俺はもっと…強くなる。明日香や、愛する者の為に。もっと、強くならなければならない」

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