黄昏に香る音色 2
「自覚してます。自分が…商品だと」

「ああ…」

里緒菜の言葉に、母親は頭を抱える。

「あなたが…女ではなかったら…こんなに苦労することはないのに…」

「でしたら。もう1人、子供をお産みになられたら、如何ですか?」

「里緒菜さん!母親になんて口を…」

「母親でしたら…怪我をしなかった娘のことを喜ぶべきでしょ。会社の為だなんて」


「あなたは、この家に生まれ、この会社に生かされているのですよ」

「それはわかっています!だから…」

里緒菜は、拳を握り締め、

「高校だけは!あたしは、転校しません。失礼します」

里緒菜は、頭を下げると、書斎を出た。

「里緒菜さん!」

母親の声を無視して。


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