黄昏に香る音色 2
里緒菜はドアを閉め、

廊下を歩きながら、

悔しさで、いっぱいだった。

友達を馬鹿にされた。

娘の友達さえ、

自分の価値観で評価する。

そんな最低な環境に、

里緒菜はいるのだ。


自分の部屋に入ると、

堪えていた涙が溢れた。

そんな涙を流す里緒菜を、部屋の大きな鏡が映す。

みっともない。

あなたは、いつも微笑む人形でいなさい。

鏡を、

里緒菜は睨む。

そんな感情さえ、

嘲笑う。

お前は、人形。


鏡に物を投げそうになった時、

携帯が鳴った。

メールが来たのだ。

里緒菜は、物を投げるのをやめ、

携帯を取った。

(お疲れ様。面白い写メ撮れたから、送ります)

和也からだった。

里緒菜は写メを開いた。

「何これ…」

それは、幸せそうに眠る柴犬に、眉毛が描いてあり、


柴犬の目が

⌒⌒←こんな感じになっており、

描いた眉毛と、同じ目をしていた。

「かわいそお〜」

里緒菜は写メを見ながら、

「だけど…かわいい…」

知らず知らずに、微笑んでいた。
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