黄昏に香る音色 2
「里緒菜!」

まだ里緒菜以外、誰も来ていない教室に飛び込んできて、

香里奈はいきなり、走り寄った。

里緒菜は、少し引きながら、

「おはよう…どうしたの?」

「あんたの会社。オーディションやるんだって?」

少し興奮気味の香里奈に、

里緒菜は、訝しげな表現を浮かべ、

「どうして知ってるの?」

「まったく!あたしゃ〜きいてなかったよ」

大げさに、嘆き悲しむ香里奈に、

「あたしの話…きいてる?」

里緒菜がきいても、

香里奈は話し続ける。

「親友なのに!何も知らなかった」

「香里奈」

「ほんと。水くさいよ。学校を、転校させられそうだなんて」

「香里奈!」

里緒菜は、机を勢いよく叩いて、立ち上がった。

香里奈は驚き、言葉を止めた。

「誰からきいたの?」

里緒菜は、香里奈を睨んだ。

香里奈はキョトンとし、

「大丈夫だよ」

「どうして…」

「あたしが、参加すれば!間違いないから」

香里奈は、里緒菜に笑いかけた。

「誰からきいたの!」

里緒菜は、叫んだ。

あまりの剣幕に、

香里奈は戸惑い…

「隣のクラスの高木さんから…さっき…」

小声で呟くように言った。
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