黄昏に香る音色 2
それをきくと、

里緒菜は、教室を飛び出した。

「里緒菜?」

香里奈はなぜ、怒られたのかわからない。

隣の教室は、まだ優しかいなかった。

優は、里緒菜が来るのを予測していたみたいに、

廊下側に体を向けて、腕を組ながら、立っていた。


「あんた!どうして知ってる!」

里緒菜は教室に入ると、

優の目の前まで来て、

「どうして!」

里緒菜は、優を睨みつけ、

「あの子に話した!」



優はジロッと、里緒菜を見ると、肩をすくめた。

そして、

「まず…あたしの母方の祖父は、飲食店向きの卸業をやっていて…あなたの会社も、取引してる…お付き合いがあるの」

「まさか…」

優は口元に、軽く笑みを浮かべ、

「よく娘の愚痴をこぼすらしいわ」

優は、里緒菜をまじまじ眺めて、

「大変みたいね…あなた」

「なにを…」

里緒菜は、拳を握りしめた。

優はまた肩をすくめ、

「あと…なぜ、速水さんに言ったかだけど…」

優は気づき、

視線を扉に向けた。

「面白いじゃない」
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