黄昏に香る音色 2
里緒菜は言葉を失った。

「例え…彼女がいたって」

優は、香里奈に視線をやりながら、

「あの人を、幸せにできないなら…」

「できないなら、何?」

里緒菜は、優の言葉を遮った。

「あの人が望んで、今があり…それで、悩んでたとしても!それは…あの人が、こえなきゃならないことなのよ」

優は、里緒菜を睨んだ。

「あたしだったら!そんな思いはさせない!」

「あなたは…」

里緒菜は、優を見つめた。

「!?」

優は驚いた。

優を見る里緒菜の瞳の

…悲しそうな色に。

「あなたは…本当は、ナオくんが好きじゃないのよ」

「な、何を」

優は、思いもよらない言葉に驚き、

身をよじった時、思わず机にぶつかってしまう。

里緒菜はただ…優を見つめる。

「あたしは!」

「同じような感覚を持っていたナオくんに惹かれたけど…彼が変わっていくのが、嬉しいだけ」

教室に、他の生徒が入ってくる。

「あの人は…香里奈によって変わっていってる。どこか、冷めたことがあったのに…」

里緒菜は、優に背を向け、歩き出す。

「人を愛することは…自分を変えるわ」

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