黄昏に香る音色 2
「それは…いい意味でも、悪い意味でも…ある時がある」

里緒菜は、教室からでる前に、

もう一度振り返り、優を見る。

「あなたは、自分の気持ちを、一方的に押し付けてるだけ。単なる自己愛よ」

出ていく里緒菜に、何か叫ぼうとしたけど、

集まってきた他のクラスメートの目を気にして、口をつむんだ。

くやしそうに。

「里緒菜…」

自分が、何かいけないことをしたからなの…と心配そうな香里奈に、

里緒菜は、

「ありがとう」

微笑んだ。

「心配してくれて」

「里緒菜!」

香里奈は、里緒菜に抱きついた。

よしよしと、

里緒菜は、香里奈の頭を撫でた。

「あんまり、気を使わないで」

「だって…里緒菜が…」

「あたしは…大丈夫だから」

里緒菜はもう一度、言った。

「ありがとう」
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