黄昏に香る音色 2
「ありがとう」

香里奈は、参加票を受け取りながら、

「あっ。高木さんは…」

香里奈は少し…聞きにくそうに、優を見た。

「ああ!あたしも大丈夫よ」

優は鞄から、参加票を取り出した。

「よかった…二人とも通って」

香里奈は、ほっと胸を撫でおろした。

優はクスッと笑い、

「心配症ですね」

「いやあ〜」

香里奈は恥ずかしそうに、頭をかき、

「こういうの…1人だけっていうのも」

「あらあ?でも、最後に選ばるのは、1人だけですよ」

「そおなんだけど…」

そんな香里奈を、

心の中で冷ややかに見つめながらも、

「優しいですね」

「いやあ〜」

「オーディションの時間は違いますけど…お互い、頑張りましょう!」

優は、ガッツポーズを取る。

「うん。頑張ろう」

頷く香里奈に、

優は手を差し出し、にこっと笑った。

香里奈も笑い、

ゆうの手を握った。

2人は握手した。

香里奈は友好の…

優は宣戦布告の

握手だった。
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