黄昏に香る音色 2
試練
「で、オーディション受けることになったの」

ダブルケイの二階。

部屋でくつろいでいた香里奈は、

携帯で、直樹に電話していた。

「そうなんだ…如月さんから、何もきいてないけど」

「里緒菜は…反対してるから…」

香里奈は少し、心が痛んだ。

「でも…里緒菜を助けることになるから…」

「そうなんだ…」

「里緒菜には…言わないで」


「わかった…詳しい話はわからないけど。多分…如月さんは、香里奈さんを心配してるんだろう」

香里奈はベットに倒れ込み、

「それは…わかってるんだけど…。何か悪いことしてるのかあ〜っていうのもあるの」

直樹は少し…間をおいてから、

「通ったら…どうなるの?」

「里緒菜とこのイメージソングを、歌うことになると思う」

「CDにもなるんだ」

「通ったらだけど…」

香里奈は、天井をぼおっと見つめた。

「香里奈さんなら、通るよ」

直樹の言葉に、少し吹き出し、

「まだわかんないよ。あたしより、上手い人なんていっぱいいるだろうし…」

「いないよ」

「え」

「多分、いない。香里奈さん以上なんて」
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