黄昏に香る音色 2
彼は、洋楽の昔の有名な曲…少しマイナーな曲などを
微妙なアレンジで変え、
アイドルに歌わせているだけだった。
日本人は、自国以外の音楽を聴かない。だから、パクりにも気付かない。
それが、全世界有数の音楽消費国でありながら、
本物を生み出せない原因の一つだった。
そして、矢野は…それで、金持ちになっているのだ。
「まったく、商品として申し分ない」
矢野が力説する…その後ろから、鼻で笑う声がした。
「あんたのつくる曲には…勿体無い。本物の歌手は」
矢野は振り返った。
「里美!」
スティックを持った里美が、歩いてくる。
「里美!お前からも言ってやってくれ」
里美は、ちらっと横目で、矢野を見、
「あんたに、呼び捨てにされる筋合いはないわ」
矢野は引きつりながらも、笑い、
「冷たいなあ…もと夫に対して」
そう…矢野と里美は、昔結婚していた。
里美は歩くことをやめず、志乃たちも追い越していく。
「先にいくわね」
志乃にそう告げると、通路を歩いていく。
志乃は、矢野や里緒菜の母親に、頭を下げ、
「残った5人は、矢野先生のお好きなようにして下さい」
志乃は、愛想笑いを浮かべながら、
また歩き出す。
矢野たちは呆然とし、何か言おうとしたけど、
言葉にならなかった。
微妙なアレンジで変え、
アイドルに歌わせているだけだった。
日本人は、自国以外の音楽を聴かない。だから、パクりにも気付かない。
それが、全世界有数の音楽消費国でありながら、
本物を生み出せない原因の一つだった。
そして、矢野は…それで、金持ちになっているのだ。
「まったく、商品として申し分ない」
矢野が力説する…その後ろから、鼻で笑う声がした。
「あんたのつくる曲には…勿体無い。本物の歌手は」
矢野は振り返った。
「里美!」
スティックを持った里美が、歩いてくる。
「里美!お前からも言ってやってくれ」
里美は、ちらっと横目で、矢野を見、
「あんたに、呼び捨てにされる筋合いはないわ」
矢野は引きつりながらも、笑い、
「冷たいなあ…もと夫に対して」
そう…矢野と里美は、昔結婚していた。
里美は歩くことをやめず、志乃たちも追い越していく。
「先にいくわね」
志乃にそう告げると、通路を歩いていく。
志乃は、矢野や里緒菜の母親に、頭を下げ、
「残った5人は、矢野先生のお好きなようにして下さい」
志乃は、愛想笑いを浮かべながら、
また歩き出す。
矢野たちは呆然とし、何か言おうとしたけど、
言葉にならなかった。