黄昏に香る音色 2
泣き崩れる香里奈のそばに、誰かが立った。

「香里奈さん」

香里奈は、その声に顔を上げた。

そっとハンカチが、香里奈の涙を拭った。

「ナオくん…どうして…」

直樹は微笑み、

「気になってね」

「ナオくん…あたし…」

香里奈は、直樹の腕を掴んだ。

「向こうで休もうか」

直樹は、海を見た。

塩の香りが流れてくる。

「いこう」

直樹は強引に、香里奈を引っ張って行った。
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