黄昏に香る音色 2
志乃は、社長の方を向いた。

それだけでビビル周り。

志乃は、置いてあったお茶を飲みながら、

「あれね。別に悪い話じゃないわ…」

お茶を飲む志乃を、見守る取り巻き。

「アメリカを、ターゲットにいれたら…必要だから」

「でも、会社に相談もなく…」

社長の言葉は、志乃の目力でシュンとなる。

「悪かったとは、思ってるけど…あたしには、目的があるの」

志乃は、一冊の雑誌を社長に投げた。

それは、アメリカの音楽雑誌だった。

「13ページ」

志乃は、お茶を一口すすった。

急いで、ページをめくるが、英語で書いてある為、読めない。

社長は、愛想笑いを浮かべる。

横から覗き見たマネージャーが、何とか訳していく。

「中毒患者、続出…音のドラッグ…すばらし過ぎる音の麻薬…」

志乃は、お茶を飲み干す。

マネージャーが、それに気づき、お茶を入れようとするが、

「続けて!」

志乃は、それを制した。

マネージャーは恐る恐る、雑誌を訳していく。

「その者の素性は、わからないが…こう呼ばれている…ケー…」

「読み方が違う!」

志乃は、コップを床に叩きつけた。

怯える周りに。

「あいつだ!」

志乃は震えていた。
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