黄昏に香る音色 2
空港のロビー近く…。

人混みから、離れたところ。

女は、かかってきた携帯電話を取る。

電源を切ろうとした瞬間だった。

「俺だ」

電話に出た瞬間、クスッと笑ってしまう。

「あら。まだ生きてたの?」

その言葉に、絶句したのか…しばらく無言になる。



「ひどいな…それが恩人にいうセリフか」

「あらあ…いつも、もう終わりとか、死ぬばかり…言ってるから、そろそろかと」

また無言になる。

少し間があって…、

「いつから、そんな冷たい女になっちまったんだ…明日香」

大きな旅行鞄を、傍らに置き、電話にでている女は…、

速水明日香、その人だった。



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