黄昏に香る音色 2
大地の鼓動の上で、

人々の笑顔のもとで、

あたしは…

言葉になろう。

英語とか、フランス語とかではなく、

音楽という言葉に。

心を伝える音楽という…言葉に。


かつて、和美に、フランスの地で、アメリカから移住した老婆が語った言葉。

「神は、罰として…他の世界の人々の言葉を変え、壁をつくり、言葉を通じないようにした…。だけど…その壁を壊すことができる者が…歌手かもしれない」


言葉の壁を壊す…言葉。

明日香は、それになりたいと思った。

心を伝える音。

明日香は、楽器ケースから、

トランペットを取り出すと、先にミュートをつけて、

人々と大地の鼓動に、混じり合う。

いつのまにか…自然と演奏は始まっていた。

明日香は、彼らの演奏に参加した。

啓介も、隣で寄り添う。



明日香と、啓介…。

2人は、音楽という旅を続ける。


人の優しく、暖かい音を奏で、伝える為に。

音楽は、言葉。



そして、少し疲れた時は…ダブルケイに戻ればいい。

永遠の音を奏でる…2人の始まりの地へ。



End。

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